千の夜をあなたと【完】
男はモルガンを見据え、氷のような声で言う。
その眼光の鋭さに、モルガンはすっと酔いが醒めていくのを感じた。
「……貴様、何者だ? 名を名乗れ!」
モルガンの問いに、男はクッと頬を歪めた。
しばしの沈黙の後、その形の良い唇を静かに開く。
「ライナス・ケイフォードだ。……いや、『氷眼の狂剣士』と名乗った方がわかりやすいか?」
「……っ!!?」
モルガンは目を剥いた。
同様にザインとケルビンも驚いたように目を見開く。
そんな三人の前で、男──ライナスは瞳を陰らせ、目を細めて嗤った。
……その瞳に広がっていく、強い憎悪の感情。
ここまで苛烈な視線を見たことがない。
モルガンはその迫力に、思わず一歩後ずさった。
そんなモルガンに、ライナスは嗤いながら言う。