千の夜をあなたと【完】
「木こりの方がまだましか。己の性分をわかっている」
「き、貴様……っ」
「そろそろ話をするのにも飽きた。行かせてもらうぞ」
言葉とともに、ライナスの両手に短剣が現れる。
それがどこから出たのか、モルガンには見えなかった。
そしてライナスの短剣を見た者で生き延びた者はいないということを、モルガンはもちろん知る由もなかった。
「き、貴様、どこから剣を?」
「残念ながらそれは教えられん。剣は人に見せるものではない。特に殺しに使う剣はな」
「……!」
モルガンの顔が恐怖で歪む。
ライナスは唇の端に禍々しい笑みを浮かべ、少し腰を落として身構えた。
「3人か。……まとめてかかって来い、お前達なら六振で充分だ」
「な……なんだとっ!?」