神様さえも朽ちらせる忌わしき呪物

 「私、は」

 「知ってるよ。怖いよね。死にたくないよね。だから、逃げたんだよね。抗うことなど知らないよね。学ばないまま育ったのだから。皆酷いね。君に酷いことばかり」

 「だけど、悪いのは私」

 「…そうか、そうやって君は自分を責めて生きてきたんだね。辛かったね」

 静かにミッシェルから離れたロキの瞳は、鋭利なナイフのような鋭さを持っていた。

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