神様さえも朽ちらせる忌わしき呪物

 他人の命を奪い、逃げ出したあの頃。

 押し潰されそうだった。

 他人を殺せば、その死を背負うことになるだなんて思わず、怖かった。

 いつか来る裁きの時(死)に怯え、いつまで逃げればいいのかと怯えた。

 死にたくない、だけど逃げていても生きることは怖いばかりで。

 生きていたいのに、人を殺す力を持って生きることが辛くて。

 死にたくない、だけど生きたくて。

 
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