響き
届きそうで、届かない距離がもどかしくて
何度もこの手を伸ばした。
それでも決して、ふたりの手が繋がることはなかったけれど...
声なんてもう曖昧で
記憶もどこまで正しいのか定かじゃない。
それでも、あの頃の自分が今もなお懐かしいのは
きっと
今なら欲しくて欲しくて仕方のない
「誰より好き」と思えるその感情を
確かに持っていたと思うから。
ただ我武者羅に、恋をして
毎日が鮮やかに映る景色を
当たり前のように思っていたけれど、
本当は何ものにも代えられないくらいに
それはそれは、愛おしい日々だった。
苦しいこともたくさんあった
でもそれ以上に
あなたをこんなにも好きだと思えた
そんな私が、今よりずっと
輝いていた気がする。