涙桜
土方さんと出会って2週間が過ぎた。

相変わらず私のことは思い出さない。

その事実が怖くて、私はできるだけ土方さんにかかわらないようにしていた。

「瑞樹。どうしたの?次、ホームルームだよ?」

「あ、舞。そうだね。」

あまりにもぼーっとしていたせいか舞が心配して声をかけてくれる。

「今日は新しいコーチの先生の歓迎かいだよね?」

「・・・うん・・・・」

「瑞樹、なんか新しいコーチの人が来たら変わったね。」

「え?」

「一気に大人っぽくなった。綺麗になったよね。」

「そう、かなあ・・・?」

あまり自分のことは気にしないからわじゃらない。

「うん。コーチのこと好きになったとか?」

「ちがうよお・・・・」

好き、じゃない

愛しています

いまも、昔も。

そして私は制服のまま歓迎会の会場へ向かう。

そこは最後にあなたと別れた桜の木の近く。

もう桜は満開。

白い花が咲くこの季節は

いつも眠れない。

そう、だってあなたのぬくもりがないから。
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