涙桜
原「土方さん。今日は飲まねえのか?」

土「ああ。」

なぜか飲む気に慣れない。

あの、瑞樹とかいう女が気になる。

さっき廊下ですれ違った時の

あの泣きそうな表情。

俺は、あの顔をどこかで見た気がする。

土「だけど左之。お前現世では未成年だろうが。なに飲んでやがるんだよ。」

原「いいじゃねえか。酒はいつの時代もうまいな。」

土「ああ。」

見ると総司が平助に沢庵を突っ込んでいる。

斎藤は新八になにやら指導について説教をしている。

土「あのころとかわんねえな。」

だけど、何かが足りない気がする。

それは、なんなんだ?

土「タバコ吸ってくる。」

原「ああ。」

俺は上着を着て外に出る。

ざあっと花弁が舞い落ちる。

「桜が近くにあるのか。」

俺は自然とそちらに足を向ける。
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