涙桜
すると、誰かが桜の木のもとに立っていた。

「瑞樹・・・・」

後ろ姿でわかった。

ったく、こんなところであいつは何してやがるんだ?

俺はそんなことを思いながら近づく。

すると、瑞樹が月を見上げたので横顔が見えた。

その瞳にあふれているのは涙だった。

その涙を見た瞬間ぶわっと頭の中でなにかが廻る。

“土方さん”

笑顔で呼ぶ声

“もう!またですか土方さん!”

すこし怒って俺の名前を呼ぶ

“土方さん!!桜が今年も綺麗ですね!!”

“ああ。そうだな。”

2人でこの場所で桜を見上げた。

“ヒック。死なないで・・・土方さん・・・・”

お前の泣き顔を見るのはやっぱりつらいな。

“ばあか泣くな。すぐに、生まれ変わったら会いに行く。”

そう言って俺は過去涙を拭ってやったんだ。

瑞樹の・・・・

そして俺は走り出す。

すると瑞樹が気配に気づいてこちらを振り返る。

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