キウイの朝オレンジの夜


 丸めた雑誌で自分の肩を叩きながら亀山さんが、あのなあ、とだるそうに口を開く。

「言っていい事と悪い事くらい判るだろう、いくらお前がバカでも。一生懸命自分の仕事している人を見下していいわけないだろ」

 おおお~!!

 あたしは感動した。思わず頷いてしまう。そうそう、そうなんです、亀山さん!

 先輩に叱られた男は膨れっ面を更に歪ませて、小さな声でぶちぶち言う。

「・・・あんなの冗談に決まってるじゃないですか」

 何だと!?あたしはカチンとして思わず睨みつけてしまった。

 だけどそれ以上何かする前に、またまた梅沢さんの罵声が飛んだ。

「冗談で済むかー!!」

 亀山さんを押しのけて男に手を伸ばそうとするのを、梅沢ー!と亀山さんが引っつかむ。

 何かのコントか漫画みたいだった。

 梅沢さんを掴んだまま身を捻って亀山さんがイライラと叫んだ。

「信田!さっさと謝罪して消えろ!」

 男はだらだらとあたしに向き直った。

「・・・すみませんでした」

 あたしはチラリと冷たい視線で見て、無表情で返す。

「いえ、慣れてますから大丈夫です」


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