キウイの朝オレンジの夜
だけど・・・・
その自己防御も今や崩壊。ザッバーンと恋愛大波に飲み込まれてしまって、あたしは頭からつま先までびっしょ濡れ。
物凄い量のピンク色の水を一瞬で被って、化粧もとれた状態で真っ赤になったのだ。
・・・無理。叶わない恋愛の、その最たるものじゃないの・・・。相手が悪すぎる。あたし程度では太刀打ちできない。どうしたらいいのだ。
あたしは深い深いため息をついて、支部の廊下に座り込む。
スカートからストッキングをはいた両足からしんしんと冷えていく。その冷たい廊下の床の感触でさえも頭のピンク色の霞を取り払ってはくれなかった。
一人で廊下で座り込み、勝手に奈落の底に落ち着いていたあたしを発見したのは副支部長の宮田さん。
「――――――うぎゃあ!!・・・たっ・・・玉、ちゃん!?」
当たり前だけど、飛び上がって驚いていた。誰もいないと思ってた支部の廊下に座り込んでいる黒いスーツの女。そりゃあビックリしただろう。相当申し訳ないことをしたと、心の中では反省した。
「・・・ううう、すみません、宮田さん・・・」
「なななな・・・何!?また解約!?それとも急病!?望まない妊娠とかは却下だからね!」
・・・何で、その例なの、宮田さん。それって一体誰の子供よ。
あたしはへらへらと笑う。完全に壊れたいぜ。だけど惜しいことに、まだ若干の理性が残っていた。
「大丈夫です~・・・。そのどれでもない。新しい契約が貰えるかもしれないアテまで出来たあ~・・・」