キウイの朝オレンジの夜
副支部長はやっとドアを閉めて、恐る恐るあたしに近づく。
「・・・じゃあ何でそんなに凹んでるの?ちょっと、風邪引くわよ。2月戦だってのに、稼ぎ頭が風邪とか止めてよね」
ほら、とにかく事務所に入りなさい、と腕に手をかけて引っ張りあげられる。
あたしより小さい副支部長は、器も大きければ度胸もある人なのだ。
あたしはつい涙ぐむ。
「ううう・・・宮田さーん・・・」
「うわあ、今度は泣くの!?もう何なのよ~!!」
事務所に引っ張り込まれた。
誰も居なかった。そりゃそうか、夜の9時前だ。
あたしは自席によろよろとたどり着き、だーっと涙を垂れ流しにしながら言った。
「稲葉支部長に惚れてるって気付いたああああああ~!!!」
宮田副支部長は、叫ぶ。
「それがどうした!?」
「はい?!!」
あたしは思わず小さな彼女を仰ぎ見た。それがどうしたって、何だ!?一大事じゃないの!
宮田副支部長は、もう、面倒臭いわ~と言いながら華麗な手つきであたしにティッシュを放った。