キウイの朝オレンジの夜
屋上の車の中。
何と、あたしはちゃんと実行した。
つまり、猛烈に仕事に打ち込んだのだ。
新しく開拓した会社にも通ったし、他に二つほどペア活動で飛び込みもした。今まで主に夜に活動していたので、午前中はほとんど営業活動をしていなかったのを、行動時間を変えることでまるで主婦であるかのような時間帯に働いた。
うちの支部は主婦ばかりだ。
だから皆の活動を真似すれば、その時間帯はすぐに判った。
9時から5時で懸命に活動し、皆が帰ってしまう6時半までで翌日やその週のアポの整理をしたり事務活動をしたりした。
書類の作成、事務員への確認、上司との対話。その全部を6時半までに終わらせた。
上司の対話は出来るだけ副支部長にしてもらったし、朝礼や夕礼でも手元の資料を熟読することで稲葉さんとは目があわないようにした。
それは実にうまくいったのだ。
副産物として、早寝早起きが身に付き、家で母親と晩ご飯が食べられるようになり、友達と飲みに行く時間も出来た。体の調子もよくなり、生理がマトモに来て、ご飯の時間がバラバラではなくなったので、暴食や間食が減って体つきもスマートになった。
あたしは鏡を覗き込んで、サイズが一つ落ちた新しいスーツを着てくるりと回る。肌も疲れておらず、化粧のりもよかった。
もっと早くこのサイクルで営業をしていれば、光とのすれ違いもなかったはずだよね、と若干反省もした。
素敵、9時から5時って!