キウイの朝オレンジの夜
重い重い責任。
今日は支社に来ていた。
理由は、時間短縮の為。
締切日である今日、時間ぎりぎりに契約申込書を突っ込みたかったら、自分の事務所でなく支社にくるのが早い。
そんなわけで健康診断の結果と契約書その他を持ってあたしは支社に駆け込んだってわけ。
夕方の4時。
無事にそれが処理されるまでイライラと待っていたけど、支社の事務員中埜さんが笑顔でオーケーをくれたので、やっと安心して支社を出た。
繁華街の高層ビルの23階の全フロアを占める支社からの眺めはよかった。だけど高所があまり得意でないあたしは1階に下りるとほっとする。
そのままビル1階のコンビニに入って缶コーヒーを選んでいると、肩を叩かれた。
くるりと振り返って、あたしは驚愕で全身が固まる。
「えーっと、神野さん・・・だったよね?」
――――――――北の楠本!?
あたしは目を見開きながら、わたわたと言葉を返す。
「はい!あの・・・楠本FP、なぜここに?」
あなたの所轄は都心でしょう!?思わず後ずさって棚にぶつかってしまった。
それを面白そうに眺めて、やたらと高い場所から楠本さんはあたしを見下ろす。