キウイの朝オレンジの夜
ご褒美旅行。
この街に最後の雪が降った翌日、あたしは2月戦のご褒美旅行に出発した。
うちの支部からは夕波さんとあたしの二名が参加資格があったけど、夕波さんは実家の法事と被ったとかで辞退していたから、あたしは同期と待ち合わせして支社の集合場所に向かった。
「玉~!!久しぶり~!!」
「おおおーっ!菜々、おはよう~!」
支社の研修やなんかではすれ違うことはあるが、ちゃんと会うのは本当に久しぶりだ。あたし達は抱き合って喜ぶ。
積もり積もった話がたくさんあって、行きのバスの中はノンストップで喋り捲りだった。
前からビールだつまみだとやたらと回ってくるので、支部では普通に働く皆に心の中で頭を下げてあたしは楽しくお酒を飲む。
ハイになって、女の子と騒いだ。
「いつの間に石原君と別れたのよ~!!」
菜々の追求に、5年越しの恋愛を終わらせたことを話した。光に対して怒り出した菜々は、二人でしたラブホテルでの最後の晩餐の所で瞳を潤ませる。
最後、ちゃんと話も出来てよかったねえって。
あたしは頷く。光は、元気かな。新しい彼女は出来たかな。幸せで居て欲しいなって、今は心底思うのだ。
「菜々はどうなの!?」
新しいビールを開けてあたしも突っ込む。聞いて貰ったら相手の話も聞くのが礼儀だよな。彼女はうふふ~と笑って、現在付き合っている彼氏の自慢を延々と始めた。