キウイの朝オレンジの夜
あたしは同じ支部の夕波さんが欠席の為、これまた豪華に一人で部屋を使うことになっているのだ。ウキウキと与えられた小さいけど豪華な和室で荷物を解く。
すぐに菜々と待ち合わせをして、お風呂に入りに行った。
ヒノキを贅沢に使ったお風呂で、きゃあきゃあと幸せに騒ぐ。
他のお客さんはまだ見当たらず、居るのは同じ会社の営業ばかりだったから、気も遣わずに済んだ。
露天風呂でどっちの胸が大きいかで菜々と言い合いをし、他支部のベテランさんに「どっちもどっち。威張るほどない」と言われて同時に凹んだりもした。
旅館が女性客の為に浴衣を揃えてくれていたので、自分の好きなものを選んで着る。
浅黄色の浴衣に赤い帯を締めた。髪も整えて、素肌はそのままで眉毛とマスカラだけを塗る。お風呂上りの上気した肌には過剰なメイクは合わないのだ。
頬が赤くて、自分でも中々可愛いかも、などと思ってしまった。これぞ、旅行マジック。
笑いながら廊下を進んで、ゲームコーナーに突入した。
既に男性営業陣や上司達が浴衣姿で卓球大会などをしている。凄い騒ぎで、他の客から苦情がくるのではないかとちょっと心配したけど、菜々に引っ張られて観戦する内にこっちまでハイなのがうつってしまった。
黄色い歓声を上げて応援する。一般支部対職域営業部では、菜々とも敵味方に分かれて応援した。
男性陣は本気で試合モードになっていて、初めは適当だった応援陣も、そのうち両サイドに分かれて踊りだす始末だ。