キウイの朝オレンジの夜
5、ピンクで甘くて笑えるような。

 強情っぱり。



 そんなわけで宴会となった。

 7時丁度から始まり、最初に支社長の挨拶があって、この記念月に健闘した皆さんに感謝を、とか何とかぬかしていた。

 その頃にはお腹がすいて気絶しそうな営業職員達は、泡が消えていくビールを見詰めながら、さっさと乾杯しろよ!と呪っていた。

「乾杯!」

 盛大な声と共にグラスがあげられる。

 男性営業も半分ほどはいるので、何しか声がでかい。ほとんど雄たけびになっていて、あたし達はそれを聞いて笑った。

 上司席にいる稲葉さんは温泉にもつかったらしく浴衣姿で、あたしはそっちを見ないように全力を尽くしていた。出来るだけ、背中をむけて。意思を総動員して。

 両隣に並ぶ皆とえげつないお客さんについてで盛り上がる。たまに意識が稲葉さんに向くのを阻止するのはしんどかったけど、後はそれなりに楽しんだと言える。

 菜々が斜め前でガンガン飲むので、それをハラハラしながら見ていてたまに注意もしていた。

「ちょっと菜々!大丈夫なの、そんなに飲んで!?」

 斜め前からヘラヘラ笑って、上機嫌で菜々は手を振る。

「大丈夫よ~!玉も飲んでる~?」

 あたしはそんなに強くないので、と出来るだけ断ったけど、それでもいつもよりは飲んでいた。

「あたしはもういいや~。フラフラだもん・・・。あー・・・外行こう」

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