キウイの朝オレンジの夜


 そろそろと顔を上げる。手を伸ばして部屋の電気をつけてから、ティッシュで鼻をかんだ。

 その間にもチャイムは鳴り続けている。

 あたしはゆっくりと入口に向かう。

「・・・はい?」

「稲葉です」

 ガツンと頭に衝撃があった。また自動的に飛び出す涙をイライラと払う。ちっくしょう!泣くくらい勝手にさせてよ!

「・・・何ですか?」

「聞きたいことがたんまりとある」

「黙秘します」

 ため息がドアの外から聞こえた。そしてノックの音。

「―――――――とにかく、ここを開けてくれ」

「嫌です~」

「・・・神野」

「もう、もう、もう10時過ぎですよ~!消灯です~!」

 あたしはわたわたと両手を体の前で振りまくってくるくる回る。いやだあああ~!今日はもうキャパオーバーだってば!早くどっか行け!!


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