キウイの朝オレンジの夜
両手であたしの顔を固定して、ゆっくりと唇を離した。至近距離で見詰められて、あたしの瞳は霞む。
「――――――――逃げられると思ってる?」
低くそう言って、彼は微笑む。
また唇が重ねられた。
あたしは言葉も生み出せず、ただ流されるだけ。こんな頭が痺れる甘くて熱いキスにどうやったら抵抗出来るだろうか。
・・・何が、どうなってるんだろう・・・。
何であたしは稲葉さんにキスされてるんだろう。
柔らかくて気持ちいい。噛んで、舐めて、舌で刺激する。
あたしがぼーっとなって展開に流されていると、稲葉さんは他の場所にも唇を押し当て始めた。
頬、首筋、鎖骨、ビクンと体が跳ねて反射的に押し返そうとするあたしの両手を、頭の上で簡単にまとめて掴み、胸元で彼が呟いた。
「・・・浴衣に下着はご法度だぞ」
「は・・・はいっ!?」
片手であたしの両手首を掴み、もう片方の手で浴衣の襟元をぐいと開けた。
「――――――あ。オレンジ小花柄のレース」
――――あ、って。あ、ってえええええ~!!羞恥心からあたしは一気に理性が戻る。