キウイの朝オレンジの夜


「・・・いや、そういう訳では・・・って、ええ!?」

 何て言った!?あたしは思わず両手で頬を隠す。さらりと言われて、余りにも普通のことみたいに言われたから耳にも引っ掛からなかった。

 稲葉さんは淡々と説明をしたのだった。


 好きな部下を抱く・・・?

 抱かれかけてる部下は、あたし。

 ―――――――好きなのは、あたし!?


 全身が発火したかと思った。


 やれやれとため息をついて、稲葉さんはゆっくりとあたしの上から体を退けた。

「・・・鈍い。信じられない」

 若干凹んでるようだった。

「いいいいいや、だって、そんな――――――」

 あんた、中央の稲葉だろ?!あたしが好きとか、その方があり得ないだろう!!10人いたら10人が、え!?って聞き返すぜ、そんなこと言ったら。

 布団の上に並んで座って、片足を上げたその膝の上にのっけた手で顔をこすって、稲葉さんは大きく息を吐き出す。


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