キウイの朝オレンジの夜
しかし、時すでに遅し。
バスで昏睡していてちゃんと覚醒してなかったあたしは気付いたらもう部屋の中にいて、その入口で、稲葉さんの熱いキスを受けていた。
抱きしめられていて、二人の荷物は足元に散らばっている。
舌で口内をかき回されて呼吸が出来ない。
「・・・っ・・・」
「・・・美味い」
にやりと笑って目を細め、稲葉さんはまた顔を近づける。
キスは激しかった。あたしはくらくらと意識が崩れ、立っていられない。
そのままベッドまで押していかれ、キスをしたままなだれ込む。少しだけ顔を離して稲葉さんがため息をついた後、低い声で言う。
「・・・一晩のお預け、死ぬかと思った」
その言葉に震える。・・・良かった、寝不足になったのあたしだけじゃなかったんだ。
「今日は無視されてばかりだったし。あれ凹んだ~。ガツガツしたくないけど、もう我慢の限界」
「しっ・・じゃなくて、稲葉さん!シャ、シャワー浴び・・・」
「必要ない。これ以上待つの無理」