キウイの朝オレンジの夜
「・・・次はないわ。光、これで終わりね。なんとも残念な終わり方だけど、仕方ない。お仕事頑張って、じゃあ・・・」
ぐっと口をつぐんでから、普通の声で言った。
「サヨナラ」
ああ。という言葉だけを聞いた。ちょっと待て、も、え?冗談なのに、もなかった。
ただ、ああ、だった。
そして電話を切って、あたしはそのまま机に突っ伏して最初の3分くらいはショックを受けていて、その後は速やかに眠ってしまい、5時頃また目が覚めてからベッドに潜り込んだのだ。
今、燦々と光りが差し込む元彼の部屋で、あたしは片手で頭を叩く。
「・・・あーあ・・・」
まだ、寂しくはない。本当のところ、頭がわかってないのかもしれない。あたしは5年来の彼氏を失ったのだ。
それが例え、口も悪く、優しくなく、ほとんど会えなかった男ではあるにしても。そうそう、顔だってそんな上等じゃないし、中堅企業に勤める公私ともにパッとしない男でもあったけど。
だけれども、2年の遠距離も含めて5年も、あたしの20代の半分を一緒に過ごしてきた男と別れたというのに、こんな何の痛みもなくて大丈夫だろうか。
ショックすぎてマヒしてる?と、思ったら、お腹が盛大に鳴って朝食を要求した。・・・ショック、感じてない模様だわ。