キウイの朝オレンジの夜
職員の出入り口で深呼吸をする。
さあ、上司にこの辛い事実を告げなければ。
あたしはドアを開けた。
予想に反して支部に残っていたのは宮田副支部長と手塚さんだけだった。
「あら、お帰りなさい、玉ちゃん。白い顔して大丈夫?」
手塚さんが優しく微笑むのに、あたしも何とか笑顔を作った。
「・・・雪、降ってきましたよ」
「え?」
二人が反応して、窓際に駆け寄った。そしてうわあ~!本当だ!と喜んでいる。
その二人の背中を見ながらあたしは自席に戻り、鞄を置くと同時にいきなり言った。はっきりと、声を大きくして。
「――――――7月戦で頂いた木下産業の経保、解約になりました」
窓際の二人が同時に振り返った。
目を見開いて宮田副支部長があたしを凝視している。手塚さんは口元に片手をあてて目を瞬いていた。
「何ですって?」
あたしから目を離さずに副支部長が近寄ってきた。手塚さんはため息をつくと、事務所を出て行く。