キウイの朝オレンジの夜


「もうやめといたら?あんた結構飲んでるよ、今日」

 おばさんが心配してカウンターから声を掛けてくれる。ふと見回すと、店は大分空いてきていた。

 手が空きだしたようで、おばさんがどうしたの?と聞いてくれるので、落ち着いた上に酔っ払っていたあたしはぼろぼろと喋りだした。

 今日ねーえ、仕事、うまくいかなくてーえ・・・あれだけ頑張ったのになあ~・・・あたし、この仕事むいてないのかなあ~・・・

 舌足らずでベラベラ喋っていたら、頭上から声が落ちてきた。口に運ぼうとしたグラスも大きな手で止められている。

 ・・・うん?誰だよ、飲むの邪魔すんの。

 あたしはゆっくりと霞む視界を上に持ち上げた。

「――――――玉。お前、飲みすぎだろ。いつからいるんだ?」

 その質問に、カウンターの中からおばさんが7時頃からよ、と答えるのをぼーっと聞いていた。

 ・・・・光、が、いる。あれ?・・・どうしてここに。

「あう・・・?ひかる、じゃなーい・・・何してんの・・・?」

 元彼になった光があたしの椅子の隣に立って機嫌の悪そうな顔で見下ろしていた。いつの間に、どこから現れたんだ?

 長めの前髪を払って、やつはため息をつき、おばさんに会計を頼む。あたしはグラスをヤツから取り返し、膨れた。


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