キウイの朝オレンジの夜
スッピンでバスローブを着こんで裸足で、ずっと話していた。
新支部長が実はあの鬼教官だったことから、ダメになった経保まで、もう瞳の堤防は決壊済みなのでたまに泣きながらあたしは話す。
彼はガンガンご飯を片付けながら、たまに辛辣な突っ込みを入れながら、お風呂上りの整えてないボサボサの髪のまま聞いてくれていた。
「もう二度と会わないはずだった鬼教官が、新しい上司?凄い偶然だな。お前の移動がこんなところに影響するとはね」
確かに。あたしが未だに以前の職域担当の営業部にいれば、彼が上司になることはなかっただろう。ここは一般支部なのだから。
それから彼の話も聞いた。
ヤツの上司も新しい人に代わったこと。人員の不足がやっと解消されて、この冬のボーナスもちょっとだけど上がっていたことなどを。
そういえば、あたしは自分の話ばかりで光の話を聞いてなかったかも、と突然気付く。
いつもいつでも、自分にばかり必死だった。
この人はそれでも一緒にいてくれたのに。
ご飯を食べ終わってお酒もなくなったころ、時刻は深夜の3時で、あたし達は酔いと眠気と話し疲れでソファーにもたれ掛かっていた。
「・・・光、ごめんね。あたし、あんたの話聞かずに自分のことばっかだったね、今から考えたら・・・」
眠そうな目を擦って、光が、あー・・・と呟く。
「・・・自分勝手はお互い様だろうって思う。・・・思った。お前と別れて翌日部屋に戻った時。・・・部屋を片付けて、ご飯作って待っててくれたんだな、あの時」
ああ、確かに・・・しかもそれを見せ付けるために食器を片付けずに帰ったんだった、あたしは。まあそのあとで罰みたいに豪雨にあって、しかも鬼教官との再会を果たしたけど。