キウイの朝オレンジの夜


 眠くて、頭が働かず、それでもここ最近なかった平和な気持ちに包まれていた。

 光が、ぼそっと呟いた。

「・・・俺は、本当に好きだったよ、玉緒のこと。だけど、慣れていって忙しさも重なって・・・。最後の方は悪かった。こっちも余裕がなくて、冷たかったと思う」


 好きだったよ、の過去形にあたしは微笑んだ。

 うん、そうだよね。あたしもね、あたしも。

「・・・光が大好き、だった。だから、今日ちゃんと話せてよかった―――――――場所が場所だけど」

 しばらく黙ったあとで、光が先にくくっと笑った。

 あたしも噴出す。

 ラブホテルでテレビのニュースを見たりカラオケをしたり普通に話したりを、元彼とするとは思わなかった。

 二人はソファーにもたれたままでゲラゲラ笑う。

 あたし達、それなりにいい恋人だった。

 すれ違いが多くて会話不足で壊れてしまって、反省すべき点はたくさんあるけれど。

 それでも一緒に成長して20代を過ごしてきたんだ。

 ちゃんと話せて本当によかった。こう考えれば、あの経保の解約だって、神様がくれたキッカケだったのかもと思える。

 痛かったけど、社会勉強としてはえぐい事件だけど、それでもそのお陰であたしは光とこうして一緒に笑っている。


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