キウイの朝オレンジの夜
瞳を潤ませる副支部長の肩をポンポンと叩き、あたしは立ち上がった。
これで話は終わりだ!と全身で表現して、あたしは対話室のドアを閉める。
ちょっとは反省しろ!バカ支部長!本当は目の前であっかんベーをしたい気分だったけど、それこそあたしにはそんな暇はない。
失った契約は大きかった。あたしはそれを埋めなきゃならない。これはもう、新たな職域を発掘するしかないか・・・。
前からひとつふたつ目をつけている会社があったのだ。そこに飛び込みに行くつもりだった。
あたしは、営業だ。
自分の足で仕事を探すこと。いくら待っていても、向こうからはやってきてくれないのだから。
悔しいことに、それを教えてくれたのは鬼教官だったけど――――――
支部に残っている数人が、あたしを慰めに寄ってくる。それに笑顔を返してあたしは鞄を手にした。
もう、忘れよう。失った経保をいつまでも引き摺っても消化不良を起こすだけだ。
コートを着て手袋をはめ、あたしは支部を出発した。