キウイの朝オレンジの夜


「誰もいないのに2階に電気がついてるぞ、クリスマスで金曜日しかも一般支部で、まだ仕事している職員がいるのか、感心感心、と思って来てみたら・・・」

 はあ~・・・とため息をついて、稲葉さんは通称「玉の部屋」を見渡した。

 あたしも見回す。

 ソファーとテーブルが一つづつあるだけの小さな部屋は、あたしが買ったものがそこら中に広げられていて、まさしく、マイ・ルーム状態だった。

 散らばる服と靴。テーブルの上には書類とオレンジとボールペンや手帳。

「・・・あああ~・・・ええーっと、いえ、これは、その・・・」

 あたしはわたわたとそこら辺を片付け始める。

 やばっ!!やーばーっ!!

 ばたばたと右往左往するあたしをドアにもたれたまま見ていた稲葉支部長が、ひょい、と一番近くにあった袋を持ち上げてのぞき込んだ。

「うわあ!それは――――――」

 ―――――――下着セットだよ!!

 あたしは真っ赤になって袋を取り返す。奪い取った袋を体の後ろに回して、あたしは稲葉さんを睨み付けた。

「みっ・・・見ました!?」

 あたしに袋を奪われる前の、両手で袋を持つ格好のままだった稲葉さんは、その手を下げてから表情も変えずに少し首を傾げた。

「――――いや。何が入ってたんだ?」

・・・ああ、良かった・・・。あたしはほーっと息を吐き出した。パタパタと顔の前で手を振る。

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