キウイの朝オレンジの夜
受けた屈辱。
今年は25,26が土日で27日に最後の出勤をしたら、あとは休みに入る。
支部の大掃除をして皆で蕎麦を食べるという年末の決まりごとをして(職域担当の営業部ではこんなのなかった)、今年もお疲れ様でした!また来年!と解散した。
あたしは家のこたつでぬくぬくと過ごし、気が済むまでお餅を食べたけど、たまに頭の中を稲葉さんが出てきて占領していった。
個人的記念月をしていたせいで今年は忘年会も楽しめず、抜け出しては客と電話をしていたあたしだった。
今、正月で、ようやくのんびりと――――――・・・・
雑誌を放り投げて、あたしは寝転んだままため息をついた。
・・・ゆっくり出来ない。鬼教官、いや、鬼支部長が邪魔をする。
あの愛嬌たっぷりの笑顔で「アポは?」と詰めるのとか、瞳を細めて色気を出し、「契約取れないなら今日は帰社しなくていいぞ」とか言ってゆっくりとあたしの呼吸を止めていくのとか。
あたしは汗をかきながらこたつの中で跳ね起き、「明日には必ず!」などと口走り、母親を心配させていた。
悪夢じゃん・・・。ああ、可哀想なあたし。そして時々、抱きしめられた腕の強さとか彼の香り、唇に触れた指の温度を思い出してはぎゃあぎゃあ言いながらごろごろと転がっていた。
死ぬー。死んでしまうー。憎ったらしいやら若干気になるやらで、勝手にわけわからなくなっていた。
と言ったって、勿論年末年始ずーっとそんな不毛な状態だったわけではない。
友達にも会った。
姉とその一家が遊びに来て、姪を可愛がったりもした。