変わった同居人
「兄は…きっと私が産まれてくることを望んでいなかったんです…」
私さえ産まれてこなければ、母親が命を落とすことはなかった。
私さえ産まれてこなければ、父親が蒸発することなんてなかった。
私さえ産まれてこなければ、親戚の家に預けられることもなかった。
"あなた達のお父さんは女を作って逃げたのよ。"
毎日毎日嫌という程聞かされた。
「だから私を…この世界で必要としてくれる人はどこにも居ないんです。」
頬を流れるものは止まってくれなかった。
私は…怖かった。