変わった同居人
「どれも面白いなら一冊ぐらい紹介してくれよ!」
あぁ…そっか。
私、言葉が足りてなかった。
「本は私の中で暇つぶしが出来るから面白いってだけだよ。」
公園で読んでいたのも、帰る時間を遅らせることが出来るから、面白いと思って読んでいただけ。
それ以外の意味なんてない。
「?」
樫木は頭に?マークを浮かべている。
「つまり、私は本の内容じゃなくて時間を埋めるために有効な物としてしか見ていないってこと。」
何もかも諦めていた人間が本を読んでワクワクしたりドキドキしたりするわけがない。
だけど、何もすることがないという状況はどうしても避けたかった。