ヘタレ少年と恋模様



あれからなんの音沙汰もなかったから、安心してたのに。


むしろあの出来事は熱のおかげで見た悪夢だと思いはじめてきたところなのに。

やっぱりあれは現実だったか。


けど、なんで今さら。


茜さんが来るのなら、なんとなくわかる。


そういえばお礼だかお詫びだか忘れたけど、なんか言ってたし。


けど、なんで風太さんが?


や、やっぱ怒ってんのかな?
こないだのこと。



いくら頼まれたからといって無理矢理土下座させたようなもんだし、不良としてプライドが許せないのかもしれない。


そう考えると、一気に血の気が引くのを感じた。


よしこれは謝ったほうがいいな!


「おーい、山村くん?来んの来ねぇのどっち?」


気づくと風太さんは目の前にいた。
どうやら俺は固まっていたらしい。



「すすすみません!行きます行きます喜んで!」


ちくしょう声が震えた。


目の前の風太さんは爽やかな笑顔を見せる。

けど。


目が笑ってねぇ…。


気がつくと、クラスは静まり返り視線は俺と風太さんに集まっていた。


金を巻き上げられるチャラ男の図が俺の脳内に沸き上がる。

みんなからはこう見えるんだろうな。


こりゃ尚更友達出来ねぇわ…。


「さあ、行こうぜ」

そう言って教室から出ていく風太さんの後ろを慌てて追った。


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