ヘタレ少年と恋模様
ありゃあ、いってーわ…。
少女には躊躇いがなかった。
やっぱりケンカ慣れでもしてるのか?
そしてやっぱり恐い。
滲んだ涙をそっと拭き、逃げることもできずに成り行きを見守った。
「なにか言ったらどうなんだ?風太(ふうた)にリック」
どうやら金髪少年1号(短髪、爽やか)が風太、金髪少年2号(やっぱり外人?)がリックというらしい。
「まじいってーよ!スネ打つことないじゃんか」
風太さんがスネをさすりながら文句を言う。
「あたしは何故風邪が悪化することを知っていながら教えなかったのか、って聞いてるんだけどな」
少女の語尾には微かに怒気が含まれている。
それを俺はハラハラしながら見守る。
「ごめんごめん。だって、そっちの方が断然面白そうじゃん。実際面白かったし。な、リック」
風太さんやめてくれ!
それ以上煽らないで!
「うん、面白かった。というか、普通は教えなくても気づくと思う」
痛さに震えながらリックさんが言う。
リックさん!
なにいってんだ!風太さん以上の爆弾発言やめて!
ああ、後ろ姿だけでも分かる。
というかわかってしまう。少女が怒りで一杯なことが。