ヘタレ少年と恋模様
少女は木刀を握り直す。
「お前ら…」
お願いだ、ここでケンカはやめてくれよ……。
それに、どうか俺に話を振らないでください。
余計熱が上がっちゃうから。
「少年に謝れ!!」
早速とばっちりきたー!
「少年に頭を垂れて深く土下座して謝れ!」
俺の存在は忘れられていたと思っていたのに、こんなときにしれっとぶっ込んでくるなんて。
「そもそもな、お前らが教えてくれないから少年の熱が悪化する羽目になったんだ。誰の責任なんだ?そうだよあたしだよ!でもお前らだって同罪なんだ」
一気にまくし立てる少女。
ひぇえ…こえー…。
でもてっきり自分のことで怒っているのかと思いきや、俺のために怒鳴ってくれてる。
飴もくれようとしたし、ここまで運んでくれたし結構いい人なのかもしれない。
俺がぼーっとしながらそんな考えにふけっていると、いつの間にか風太さんとリックさんが目の前にいた。
「ごめんよ少年!俺ら土下座するからさ、どうかこの通り許してくんねぇかな」
風太さんが土下座の一歩手前で言う。
「少年、ごめん。ついでにカッチカチの敷布団の上に寝かせてごめん」
そう言うリックさん。
だから背中が痛かったのか!
というかカッチカチって一体敷布団に何したんだ?
「べ、別に怒ってないですし、土下座なんてやめてください」
俺は必死に首を振る。
「なあ、お願いだ。土下座させてもらわねぇと俺らの命が危ない」