ペーパースカイ【完結】
幸太に電話をした。

「おー。どした?」

幸太の声の向こうが、ざわざわと、かなり騒がしい。

「あれ?今どこにいるの?」

「今?まだTの近くで小川とかと居酒屋で飲んでるけど」

「え?小川君?」

「うん、そう。なんか用あった?」

「ちょっと…会いたくなって。でも、飲んでるならいいや」

「…なんかあったん?」

「……んー……ちょっとだけ!でも、急がないから。また今度聞いて?

それじゃ…」

電話を切ろうとした時、慌てたように幸太は言った。

「いや、ちょい待って。そんなら俺、帰るし。たぶん三、四十分くらいかかるけど」

「…え……いいの?ほんと?」

嬉しかった。

「うん。先に行って、勝手に入ってていーから。じゃな」

それから、幸太の部屋に着くまでの間、輪子にママの再婚バナシのメールをした。

七時、ちょっと前。輪子からの返信。

もう熱は下がったみたいで、仕事にも行ったらしい。

あたしはとっくに幸太の部屋に着き、くつろぎながら輪子とメールのやり取りをしてた。

『じゃあ、またね~
ヾ(@^▽^@)ノ』

メールを終えた時に見た携帯の時計は八時、ちょっと前。

(もうそろそろ、帰ってくるかな…)
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