ペーパースカイ【完結】
〈j〉苺:バイバイ
目覚めると、そこはベッドの上だった。

だけど、幸太の部屋ではなかった。

「苺…起きた?」

「…輪子…?」

あたしの手を、両手で軽く包んでくれてる。

輪子。

「どうして?…あたし…」

頭が、混乱している。

まるで、夢でも見てるみたいに。

「幸太、は……?」

輪子は、微かに悲しそうな顔をした。

「一応、幸太君の部屋に置き手紙、置いてきたから…」

「…幸太の部屋…?…輪子、知ってたんだっけ?」

「苺、私に電話してくれたの覚えてない?『助けて』って。

……びっくりしたよ私……その時に、どこにいるのか聞いたの。

幸太君の家がどこにあるか、苺が教えてくれたんだよ?」

輪子の両手、あったかい。

さっきより少し強く、あたしの手を包んでくれてる。

「あぁ……そうか」

断片的に、記憶が戻って来た。
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