ペーパースカイ【完結】
『輪子みたいになりたいって、あたしずーっと思ってたから。

輪子はこれからもずーっとあたしの憧れだから。

だから、この子の名前は「アコ」。憧れの子って書くの!!

いい名前でしょ???』

あの日、憧子に初めてのキスをした直後、苺はニュッと笑いながら言った。

『うん。いい名前だね』

『でしょっ?』

『希望、あるね』

『ね。あるよねっ?』

私。

ほんとはあの時、泣きたいくらいに嬉しかった。

生きててよかったって。

生まれてよかったって。

本気でそう思ったよ。

「ねぇ、さっきの話。女の子だった場合の名前は、もう考えてあるよ」

とりあえず、台所に立ち、お米を研ぐ私。

「えっ?なになに???」

「なんて名前???」

身を乗り出す苺と一哉。

「ふふふ。まだヒミツ~~♪」

「「なんだよそれ~!!」」

二人の声がハモる。

「輪子のケチケチケチケチ!!」

「苺のチビチビチビチビ!!」
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