ペーパースカイ【完結】
「あーこーちーん!!…っとっととと!!」

どすん!ずささささー!!

ああ、もう。勘弁してよ、神様。

傘を閉じかけた芳明、目の前で豪快に転んだ主婦を見て、ぴくりとも動かない。

あぜん。って顔に、書いてある。ああ、ああ……。

ママが転んでも離さなかった両手にぶら下げているスーパーの白いビニール袋から

長ネギとお肉と糸こんにゃくがはみ出している。

私はこんなママのコケっぷりドジっぷりを見るのは日常のことだけど。

初めて目の当たりにした芳明には、この光景どう映ってるんだろう?

「いったぁ~…憧子~たすけてぇ~」

地面に突っ伏したまま、ママがひょいと顔を上げ、私と芳明を交互に見た。

「ん?あれ?憧子ちん、その子、彼氏?」

「……」

はぁ、と大きなため息を思いきり心の中でついて、私は仕方なく長ネギや糸こんにゃくたちを

ビニール袋に戻し、ママの手から奪った。

するとママはスッと立ち上がり、ニュッと猫みたいな牙を見せながら笑った。

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