ペーパースカイ【完結】
酸素がすっかり足りなかった家から外に出て、

私は密かに思いっきり深呼吸した。

少し前を行く芳明の手に自分の手を絡めたら、その横顔が笑っていた。

「なに笑ってるの?」

「いや…面白いなーと思って…憧子ん家」

「そう…?」

「うん。最初に会ったのが憧子のお母さんだよな?もう一人は?」

「ママの親友の輪子さん」

どうして一緒に住んでいるのか、簡単に説明した。

空気は雨に洗われて、すっきりと澄んでいる。ほんの少し涼しいから

芳明の手のあたたかさが肌と胸に心地いい。

「苺子は輪子さんの娘ちゃんでね、五歳なの。私にとっては妹みたいなものだよ」

「へえ…可愛いよな。俺んとこは男兄弟ばっかりだから。妹っていいな」




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