ペーパースカイ【完結】
人がめっちゃシリアスに悩んでるっていうのに、うちの家族ときたら。

「芳明くん!気合いでお肉食べないとあっという間に無くなるわよ!」

「そぉだよぉー!あっ、でも野菜もいっぱい食べなきゃダメだよ!育ち盛りなんだし!」

輪子さんもママもこんな感じ。

「いや、学生は肉!男子は肉命!!俺はサラリーマンだけどやっぱ肉命!!」

帰宅した一哉さんも、このテンション。

「お父さんも肉いっぱい食べるぞ。ん、輪子、ビールもう一杯!」

普段は物静かな輪子さんのお父さんも、下地(お酒)入っててこんな感じ。

ああ… ああ…

またしても、顔が真っ赤になる私。

「あー!憧子ちんってば全然食べてないじゃーん!さては芳明くんがいるから

おとなしくしてるんだなぁー?」

もう、勘弁してくださいママ。

恥ずかしいやら胸が詰まるやらで、確かに私の箸は進まない。

芳明が楽しそうにしてくれてることだけが救いだよ、もう…。

わんこそばのように、彼のお皿にポイポイとみんながお肉や野菜を乗せていく。

彼はそれを笑いながらどんどん食べていく。いい食べっぷり。ホレボレしちゃう。…あ。

「芳明、ご飯おかわりは?」

「あ、サンキュ」

お茶碗を受け取り、ジャーに近づいていく私を見て、ママと輪子さんが「ひゅーひゅー♪」とからかう。

もー、もー、やめてってば!!

しかしそれをマネして苺子までもが輪子さんの隣で「ひうーひうー♪」と笑っている。

芳明への人見知りなんて、とっくに忘れてんな。はぁ…。





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