ペーパースカイ【完結】
結局私一人ろくに食べれず、食事は終了した。

憮然として食器を流しに運んでいくと、ママが「どーしたの?」と

きょとんとした顔で尋ねてきた。どーしたもこーしたも、ない。

「なんでもない」

とお腹の底から低い声で答えたら

「からかいすぎちゃった?ごめんね」

と、お皿を拭いてる輪子さんが笑った。

「みんな嬉しいのよ。憧子が彼氏連れてきてくれたのが」

「……それにしたって、さぁ」

「憧子ちん、『好きな人なんていらない、作らない』ってチビの頃言ってたからねー」

「え?うそ」

「『ママとパパみたいになるのがイヤだから』って。覚えてない?」

振り向いたママの笑顔は少し寂しげだった。鼻の頭に、洗剤の泡がくっついていた。

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