ペーパースカイ【完結】
いきなり転んで参上したあたしにちょっと引きつつも、

「大丈夫ですか」とジェントルに労わってくれた彼氏くん。

いいじゃん、いいじゃん!!いい男の子じゃん!!

あたしは胸があったかくなった。

長い間つっかえていた大きな石ころが消えちゃった気分になった。

憧子ちん、彼氏できたんだ。

好きな人が、いるんだ。

良かった……。

嬉しくて、嬉しすぎて、彼氏の芳明くんを夕飯に誘っちゃった。


はぁ… 好きな人、かぁ。

いいな。

あたしにはもう憧子っていう大事な大事な宝物のお姫様がいるからいいんだけど。

憧子には大好きな王子様と、いつか巡り会ってほしいってずっと思ってたから。

輪子と一哉くんみたいに。

あたしが作ってあげられなかった『パパとママがいる普通の家族』を、憧子には絶対

作ってほしいなって、願ってたから。

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