ペーパースカイ【完結】
「俺、ちょっと行ってきます」

芳明くんの腕から苺子を受け取った輪子が

「二階に行ったみたい」と彼に告げた。

頷いて、芳明くんは出て行った。

憧子のあんな大きな声、初めて聞いた気がする…。

あたしがぽかんとしていると輪子が

「やっぱりちょっとからかい過ぎちゃったかな」

と眉をひそめた。

「うん…」

余計なこと、言い過ぎちゃったかな…。

あたし、はしゃぎすぎちゃったかも…。

男性陣もあたしと輪子も黙りこくってしまった。苺子だけが無邪気に

「ママ、アイスー」

と言った。

アイス…

「あたし、持ってくる。二人のも、持ってってみる」

と、立ち上がりながら輪子に言った。

「苺子は、なにアイスがいい?」

「んとね、ばにらー」

なんだか胸がドキドキした。せっかく芳明くんが来てくれた楽しい時間に

あたしが水差しちゃったんだ…

そう思うと、今さらながら憧子に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
< 135 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop