ペーパースカイ【完結】
輪子さんも芳明も驚いた顔をしたけれど、

自分が一番驚いた。なんで、泣いてんの?私…

ママなんていらないとか、思って。言っておいて。

いざ現実にこんなことが起こると、とたんに泣き出すなんて。

子供は、私じゃん。

バッカみたいなのは、私じゃん。

「憧子。もう苺は大丈夫だよ。ゆっくりだけどちゃんと治るって先生おっしゃったでしょ?

ね?泣かないで」

私をそっと胸に抱きしめてくれた輪子さんも。震えてる。震えてる。

ママが、恋しいなんて。

あの、なーーんも考えてないみたいな笑顔。

見たくてたまらない、今すぐ。

悲しいよ。会いたい。

いつものママに、会いたい。

わあわあと、ついに声まで上げて、私は泣いてしまった。

ママなんて、好きじゃない。

だけど、いなくなったら、絶対に嫌だ。

絶対に。

< 140 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop