ペーパースカイ【完結】
「そう。私たちね、同じタイミングで失恋したことがあったの」
輪子さんの声に新聞配達のバイクの音が重なる。
くじらの上に、いつか写真で見た高校生の頃のママと輪子さんの姿が浮かぶ。
今の私と同じくらいの頃の二人。
「苺はね、『すっごくいい失恋したんだよ!』って聞かせてくれた。
あの子はね、いつだってそうなの。どんなに悲しい時でも、明るくて強くて。
私が持っていない魅力でいっぱいなの。今も昔も」
「……」
私がいまいち納得のいかない表情をしていたら、
「憧子にとっての苺は?」
と聞かれてしまい、困った。
私にとっての、ママ、かぁ。
「…なんか、子供みたいだなって思う。あと、なんでもはっきり言うから…
時々恥ずかしいな…」
「憧子、苺の子とは思えないくらいしっかりしてるもんね。顔は似てるのに」
「似てるかな?」
「うん。こうやってると、高校生の時の苺といるみたいだもの」
輪子さんの声に新聞配達のバイクの音が重なる。
くじらの上に、いつか写真で見た高校生の頃のママと輪子さんの姿が浮かぶ。
今の私と同じくらいの頃の二人。
「苺はね、『すっごくいい失恋したんだよ!』って聞かせてくれた。
あの子はね、いつだってそうなの。どんなに悲しい時でも、明るくて強くて。
私が持っていない魅力でいっぱいなの。今も昔も」
「……」
私がいまいち納得のいかない表情をしていたら、
「憧子にとっての苺は?」
と聞かれてしまい、困った。
私にとっての、ママ、かぁ。
「…なんか、子供みたいだなって思う。あと、なんでもはっきり言うから…
時々恥ずかしいな…」
「憧子、苺の子とは思えないくらいしっかりしてるもんね。顔は似てるのに」
「似てるかな?」
「うん。こうやってると、高校生の時の苺といるみたいだもの」