ペーパースカイ【完結】
# 4 苺
ドアを開けると、輪子と苺子、そして憧子がいた。
一斉にあたしの顔を見る。その顔には『心配』『心労』という文字が貼りついている。
あたしはなんと言っていいものかわからず、「えへへ」と笑ってみせた。
その瞬間、覆いかぶさるように、輪子が抱きついてきた。
椅子から立ち上がった憧子は「『えへへ』じゃないよ」と呆れた声を出した。
苺子の頭をくるりと撫でると、ニコニコしながら、「いちごちゃん」と呼んでくれた。
まったくもって『えへへ』どころではなかったんだなぁ、と思った。
あたしにはお医者さんに説明された成り行きしかわからず、それすら半信半疑だったけれど
どうやら階段から転落して今ここにいるのは現実のことらしい。
記憶がないのだ。
階段を登っていった昨夜のことも、直後に転落したことも。
まるっきり、覚えていない。
朝早く、看護師さんの姿を見た時も、自分が病院のベッドに、ヘンテコな浴衣みたいな
服を着て寝ていることも、わけのわからない夢の中の出来事にしか思えなかった。
一斉にあたしの顔を見る。その顔には『心配』『心労』という文字が貼りついている。
あたしはなんと言っていいものかわからず、「えへへ」と笑ってみせた。
その瞬間、覆いかぶさるように、輪子が抱きついてきた。
椅子から立ち上がった憧子は「『えへへ』じゃないよ」と呆れた声を出した。
苺子の頭をくるりと撫でると、ニコニコしながら、「いちごちゃん」と呼んでくれた。
まったくもって『えへへ』どころではなかったんだなぁ、と思った。
あたしにはお医者さんに説明された成り行きしかわからず、それすら半信半疑だったけれど
どうやら階段から転落して今ここにいるのは現実のことらしい。
記憶がないのだ。
階段を登っていった昨夜のことも、直後に転落したことも。
まるっきり、覚えていない。
朝早く、看護師さんの姿を見た時も、自分が病院のベッドに、ヘンテコな浴衣みたいな
服を着て寝ていることも、わけのわからない夢の中の出来事にしか思えなかった。