ペーパースカイ【完結】
「また、来るわね」

と、輪子たちが帰っていった後はとても暇だった。

とにかく安静に、身体を休めてとお医者さんに言われたのだが

あちこちに打ち身があるものの、それほど痛みを感じない程度だし

元気と言えば元気なこの状態で午前中からベッドに横たわっていても

眠くもならない。

白く、パリッと乾いた清潔な枕に頭を乗せ、天井を見上げながら

なんとなく、ぼんやりと、憧子のことを考えた。

「苺ちゃんにそっくりだ」

「ミニミニ苺だね」

「コピーしたみたいだな」

赤ちゃんの頃、輪子と輪子パパと一哉くんに何度もそう言われた憧子。

「ほんとにそっくりねぇ。あんたみたいな人生歩まなきゃいいけど」

一度だけ会わせたママには、そんなふうに言われてしまった。

ちょっとムカついたけど、それもそうだな、なんてあたしも思った。

憧子にはとびきり幸せになってもらいたい。





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