ペーパースカイ【完結】
芳明の後姿を見ながら、ますます不安は募っていく。

ーーと、突然振り向いた芳明とばっちり目が合ってしまった。

「お・は・よー」

口だけをパクパクさせて芳明は笑った。だから私も笑った。

「よっちゃん、勉強できるし真面目だし、先生と頻繁に話す理由なんて

思いつかないよねぇ」

ペットボトルの子がまた独り言のようにつぶやいた。


授業と授業の間の短い休み時間は、それぞれの友達と過ごして終わる。

昼休みだけは一緒に過ごすのが私と芳明の間でできた、なんとなくのルールだった。

「学食行く?」

「あ、私今日お弁当」

「そっか。じゃあ俺、購買でなんか買って来るから中庭にいて」

「うん」

天気がいい日の昼休みの中庭には、カップルが結構集まってる。

私たちがよく陣取る美術室の窓の下には人がいなかったので、そこに座り

芳明を待った。本当に、いい天気。

あの日の山下公園の海の輝きが、まぶたの裏でキラキラと蘇る。

「お待たせ」

息を切らして帰ってきた芳明が「プリンも買ってきた。好きだろ?」

と、渡してくれた。

「ありがとう」

と、受け取る瞬間、校内放送が流れた。



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