ペーパースカイ【完結】
『一年C組坂井芳明くん。至急職員室まで来てください』

私たちは、思わず顔を見合わせた。

『坂井くん。至急職員室、担任和田まで』

ブツッと嫌な音を立てて放送は切れた。

「呼び出された」

ちょっと笑いながら、座ったばかりの芳明が腰をあげた。

「なんで?」

急き込むように聞くと

「んー。ちょっと。…あ、メシ食っててな。たぶんすぐ戻るけど」

と、見る間に駆け出していってしまった。

「………」

また胸の中にもやもやが広がり、私はのろのろと、食欲も失せてしまったけれど

とりあえずのろのろとお弁当を食べた。

周りにいるカップルたちの笑い声が、いやに耳につく。

「………」

ほんの一瞬の判断で、私はお弁当のフタを閉め、その場に置きっぱなしにして

芳明が消えた校舎へと走り出した。
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