ペーパースカイ【完結】
職員室につくと、ちょうど芳明が出て来るところにかち合った。

『聞こう。でも、なんて?』

胸がドキドキした。ゆっくり近づいていくと、芳明が私に気づき

目を見張った。

手には何かの紙を数枚持っている。

「憧子…」

「それ、…何?」

「………」

いたずらが見つかった子供のような目をして、芳明はその場に立ち竦んだ。

「それ、なんの紙、なの?」

「…ごめん」

何が?と問い返すより早く、観念したように芳明がつぶやく。

「俺、転校するんだ」

「……え?」

「親が離婚したから。…母親の実家に行くんだ」
< 163 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop