ペーパースカイ【完結】
ちまちまちまちま、先を行く。

ママの走りは、早いけれども危なっかしい。

「わぁ~!!」

ずざさささーーーーっ。

やっぱり転んだ。なぜこの人は、こうもおっちょこちょいなんだ。

必死に走りながらも、私はつい笑ってしまった。ママが立ち上がり

追いついてきた私に

「笑い事じゃないでしょっ!!」

と、真剣な顔で言った。そして、小さな丸っこい手を差し伸べて

「一緒に走ろう!!ママ一人じゃ、また転ぶかもだし!!」

と、またもや真剣そのものの顔で言うから、私はその手を取って

「あはは」と笑いながら、また走り出した。

ママと、二人で。

手をつないで走るなんて、一体いつ以来だろう?

もしかして、幼稚園の運動会以来とかじゃないだろうか?

そういえば、あの時もママは転んだっけ。

「ママのせいで一等賞取れなかった」と私は泣いたっけ。

「ママなんか、だいきらい」

って。

駅前まで来たと思ったら、今度はぴょんぴょん飛び跳ねながら

「タクシー!!ハァ、ハァ。タクシー、止まってーー!!、ハァ、フゥ、

の、乗るからぁーー!!」

ママが息を切らしながら両手を上げて叫んだ。

私もハァハァ言いながら、いつもだったら恥ずかしくて居たたまれなかっただろう

そんなママの姿を見て、また笑ってしまった。

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